フォト
2017年10月
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31        

カテゴリー

無料ブログはココログ

« ねこつぶ(しつこい、くびわ) | トップページ | ねこつぶ(ニケVSシロ①) »

2014年7月29日 (火)

暑かった再就職の初日に

数年前、ビジネスホテルの清掃員の仕事に就いた。

時給は、たしか700円。県で定められてる最低賃金金額だった。

これだけ安いのだから楽な仕事なのだろうと高をくくっていた。

10数年前にも面接のために連絡をしたことがあるが、
その時は若かいという理由で断られたことがあった。

おばちゃんたちが出来るのなら、体力に限界が来てない私なら余裕かと思ったのだ。

1年ぶりの仕事だった。

神経すり減らしながらの職種に就くことに、もう疲れ果てていた。

✢・✲・✢・✲

初日は7月で暑い日だった。

仕事時間は10時から3時まで。休憩は30分。と面接では、そう説明された。

言われたとおり9時15分に来ると、みんな勢ぞろいしていてせわしく仕事準備をしている。

個室に常備するお茶パックやら、掃除道具をそろえている。

‘あれ?もう仕事始まってるの?’

素肌に作業ポロシャツをはおり、自前の7分丈ズボンに着替え、作業エプロンをつけた。

自己紹介が済むと、一人の40代の女性に付いて一緒に客室フロアへ向かった。

清掃員は外階段を使って上り下り。

客室フロアの通路端にあるドアは全開で、
先ほどまでクーラーがかかっていたとは思えないほどの、温室のような暑さだった。

客がクーラーを消し忘れた部屋をオアシスにして(クーラーは止めないということ)、
そこのミニ冷蔵庫に自分たちが飲む飲み物を入れた。

作業は、風呂トイレと室内掃除、物を所定の場所に戻し、お茶などを補充。
ゴミ捨て、シーツやタオルの交換、通路の掃除機など。

その先輩の女性の命令で、私はユニットバスの掃除を任されることになった。

便器は素手でスポンジを使って奥までこするといい、見本を見せられた。

だが、じつは私は、少しばかり潔癖症。

ホテルのトイレだから使用頻度は少ないとはいえ、
洗い落しにくい指紋や爪の間に便器の汚れが付くかと思と・・・。

その手で帰宅後に料理を作るなんて、無理無理無理。

急いでマイゴム手袋を取りに行くと、途中で会った同僚の男に
「変わってるね」と言われてしまった。

ユニットバスの掃除は、そんなに汚れないので、ほとんどバスタオルで拭きまくるといった
簡単なやり方だが、けっこう大変だった。

なにしろ、廊下以上に暑くさらに湿度も高い。

気が付くとゴム手袋の中には汗が溜まっていて、
ふだん暑くても汗などかかない私なのに、汗でポロシャツがびしょ濡れになっていた。

体がなまっていることもあって、なかなかはかどらなかった。

そうしてるうちに、先輩の女性が「他の人たちを手助けしてくる」といって、どこかに行ってしまった。

もくもくと一人でユニットバスを掃除し、時々水分をとりにオアシスの部屋に行く。

どういうわけか、私がドリンクを飲もうとする瞬間に先輩の女性が現れるので、
私がやたらと休憩してるように思われたのではないかと、嫌な気持ちになった。

実際のところは、全部あわせても5分も休憩していない。

仕事のやり方としては、私はユニットバスだけの清掃で各部屋をまわっていたので、
女性の先輩と行動は一緒にしていなかった。

‘30分の休憩はいつやるのだろう?’

私は「休憩しましょ」の声をずっと待っていたが1時、2時となっても声がかからなかった。

持病というほどでもないが、貧血気味なので食事休憩は、私には必須だった。

‘もしかして(先輩の女性は)他の人と間食しながら、私の下手ぶりを笑ってるのではないか?’

そんな被害妄想がふつふつとわいて、孤独感で押しつぶされそうだった。

独り好きだが、仲間外れは耐え切れない。

2時過ぎたあたりで、突然、頭がガンガン痛くなりだした。

人生で体験したこと無いタイプの頭痛。

血の気が引き、体内の水分が無くなったのか、汗が引いたのも分った。

‘これは、熱中症だ!!’

急いでオアシスのドリンクに向かってると、先輩の女性が現れて、

「あら、さわやかな顔してるわね」

と笑った。

このとき一瞬、

‘この人は、もし私が倒れてたとしたら「あら、横になって休んでるの?疲れ取れる?」
などと、のんきなことを言うのかもしれない’

とぞっとした。

ドリンクを一口飲んだだけで、頭痛はすーっと消えた。

朝の9時から5時間休まず労働して、500MLのスポーツドリンク半分も飲めてなかった。

私はがぶ飲みが出来なかった。

30分の休憩があるなら、その時に水分も食事(貧血予防)が出来ると算段してたが、
結局、休憩はもらえなかった。

3時になってもみんなの仕事は終わらず、
私たちは2人でやってたので、一足先に終わり、
私は一人ロッカーの前でみんなを待つことになった。

先輩の女性は、またみんなのところに行ってしまった。

私はようやく、8時間前に自分で作ったサンドイッチ弁当を食べることにした。

面接で、軽食を持ってくるようにと言われてたのだ。

‘もう腐りかけなのでは?’と不安になりつつ、
‘これ以上ランチを遅らせたら夕食に響くなぁ’とあせりながら食べた。

すると、同僚のおばちゃんに

「こんなところで食べて!・・・ま、いいでしょ(今回は多めに見るわよ)」

と言われ、悲しかった。

アウェー感が半端ない・・・。

結局、情けないことだがその日1日で辞めてしまった。

どう考えても、体調的にも、自分には合わない。

ここにいたら、数日中には熱中症で死んでしまうと思った。

その日の夕方、面接の上司に電話したら、30分もごねられてしまった。

私の仕事ぶりに惚れて上司は私を引き留めようとしたわけではない。

最近ではよくあるやり方だが、上司は他県にいて、現場は現場の人が仕切っている。

ただ、上司は、面接をやり直すためにこの県までくるのが面倒だっただけなのだと思う。

上司が言ったことと現場の現状の温度差には、我慢できないものがあった。

休憩時間が無かったことを質問してみたら、

「仕事が早く終われば、(終了時間の)3時までの時間が休憩になるからいいじゃないか」

と上司は電話の向こう側でごまかし笑をした。

‘ブラック企業だったか・・・?’

口論の末、

「今日の分の給料のことや制服返還のことはこの次の電話の時に」と上司の男は言った。

結局、電話はかかってくることはなく、給料はもらってないし、
制服はクリーニングかけたものの、いまも手元にある。

✢・✲・✢・✲

2014年7月21日の朝日新聞に載ってた「熱中症」の記事に次のことが書いてあった。

熱中症労災死亡事例」 (5年で124人) 

4割が単独作業中 

・発症時期
  新しい職場の初日  21人 (21%) 
          2日目 15人 (12%)
          3日目 10人
          4日目 6人
          5日目 3人
           :
           ・
 

・年齢  50代 32人
      40代 30人
      30代 30人
      20代 7人
      10代 4人
 

・職種   建築業 48人
       製造業 21人
       警備業 10人
       農業   9人
       林業   6人
       運送業  6人
 

高温多湿の職場は体温が上がり、重い脱水症状に陥る

暑さに慣れない間は、発汗が少なく、熱が下がりにくい。 

 

・4日休むだけでも、汗が出にくくなり、休み明けは注意。
  1週間かけて作業時間を増やし体を慣らすこと!
 

・のどが渇いたと感じたときには遅いので、こまめに水分をとる。 

・死亡の4割は、糖尿病や高血圧の人。

✢・✲・✢・✲

あの日の私、やっぱり死ぬところだった・・・。

 

« ねこつぶ(しつこい、くびわ) | トップページ | ねこつぶ(ニケVSシロ①) »

エッセイ」カテゴリの記事